こんにちは。
我が家では,最近子供の教育にどこまで「お金」をかけていくべきか、ふと立ち止まって考えることがあります。
「この投資は、本当に子供の将来のためになっているのか?」
今の時代、「いい大学に入って、いい会社に入れば安泰」なんて誰も信じていないかもしれません。それでも、親心として「少しでも有利なレールに乗せてあげたい」と思い、教育費を捻出しているのが現実です。
今回は、2023年に発表された 「年収と幸福度の最新論文」 と、驚異的な進化を遂げる 「AIロボットの現状」 という2つのデータ・事実をベースに、これからの教育投資の意味について、少し考えてみたいと思います。
1. データが語る「学歴と年収」の現実
まず、感情論抜きに「ファクト(事実)」を見てみましょう。 日本において、学歴が生涯賃金に与える影響は依然としてあります。
- 学歴格差: 大卒・大学院卒とそれ以外では、生涯賃金に数千万円〜1億円近い差が出るとも言われています。
- 理系vs文系: 特に顕著なのが「理系」の優位性です。高度な専門性を持つ理系職種は、初任給も昇給率も高い傾向にあり、日本の伝統的な年功序列や性別による賃金格差も、この「学歴・専攻フィルター」の影響を色濃く受けています。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
「過去のデータだけ」を見れば、結論はシンプルです。 「子供を理系の大学・大学院に入れる。それが一番リターンが高い投資だ」 となります。
2. 「年収800万で幸福度は頭打ち」は嘘だった?
しかし、「高学歴=高年収」のレールに乗ることは、本当に幸せへの切符なのでしょうか?
「年収75,000ドル(約800〜1000万円)を超えると、幸福度は頭打ちになる」 ノーベル賞学者ダニエル・カーネマンが2010年に発表したこの説は有名ですが、実は2023年の最新研究でアップデートされています。
カーネマンらは、対立する説を唱えていたマシュー・キリングスワースと手を組み、「敵対的共同研究(Adversarial Collaboration)」を行いました。その結論は、私たちに非常にシビアな現実を突きつけるものでした。
論文の結論(2023年)
- 幸福な多数派(約80%の人): 年収が上がれば上がるほど、幸福度も青天井で上がり続ける。
- 不幸な少数派(約20%の人): 年収10万ドル程度で幸福度の上昇が止まる。
出典:Income and emotional well-being: A conflict resolved (Killingsworth, Kahneman, & Mellers, 2023) PNAS
「稼ぐプロセス」で心を病んでは意味がない
この研究が示唆しているのは、「お金は幸福のアクセルにはなるが、不幸を治す薬にはならない」 ということです。
もともとメンタルが健康であれば、お金は人生の選択肢を広げ、幸福度を加速させてくれます。しかし、激務で心を病んだり、燃え尽き症候群になったりしている「不幸な状態(Unhappy group)」にあると、いくら年収が高くても、その穴をお金で埋めることはできません。
私の周りを見渡しても、高収入を得ているものの、プレッシャーや長時間労働で疲弊しきっている人がいます。 「高年収を目指す教育」が行き着く先が、もし 「高ストレスな耐久レース」 だとしたら……親として何を目指すべきか、考えさせられます。
3. 迫りくる「フィジカルAI」の衝撃
さらに、これから子供たちが社会に出る15年〜20年後を想像すると、「勉強ができる(ペーパーテストに強い)」ことの価値自体が揺らいでいます。
私が可能性のある未来として描いているシナリオはこうです。
- フェーズ1(直近〜5年): 生成AI活用格差により、ホワイトカラーの生産性格差が極大化する。当面は、猫も杓子もAIを使い、質の良くないアウトプットが激増し、業務は増えるかも。その後、優秀なホワイトカラーのところに仕事が一極集中化していく。
- フェーズ2(10年後〜): 多くの「事務・知識労働」がAIに代替され、ポストが減少する。
- フェーズ3(さらにその先): 「フィジカルAI(身体を持ったAI)」 が本格的に社会進出を始め、ブルーカラーの仕事も代替され始める。
OpenAI × Figure 01
例えば、ロボットベンチャーのFigure社がOpenAIと提携して開発した人型ロボット「Figure 01」。 これまでのロボットと違うのは、「会話をしながら、状況を理解し、滑らかに作業する」 点です。
参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=Sq1QZB5baNw
Tesla Optimus
また、イーロン・マスク率いるTeslaの「Optimus」も、繊細な指の動きで卵を割らずに扱ったり、シャツを畳んだりするレベルに到達しています。これらが量産されれば、工場のライン作業だけでなく、家事や介護の一部もロボットが担う時代が来ます。
参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=cpraXaw7dyc
今の教育システムは、まだ「AI以前」の価値観で作られています。
一生懸命勉強して「偏差値の高い大学」に入ったとしても、その先にあるはずの仕事自体が、子供たちが大人になる頃には激変している可能性が高いのです。
将来、人間に必要な能力とは
AIが賢くなり、ロボットが器用になった時、人間に何が残るのでしょうか?
私は、あえて抽象的な言葉を使うなら、「動物的本能」 だと思っています。
- 自然の中で遊び、五感で感じる力
- 信頼できる仲間を見つけ出し、関係を築く力
- 快・不快を自分の内側から聞き取る力
これらは、机の上でドリルを解いているだけでは身につきません。資本主義社会における人類の発展に向けた苛烈な競争から降りて、自分の手の届く範囲のローカル社会での 幸福の追求 のようなことを考えておいた方が良いのかもしれません。
そんな先が読めない(けれど、激変するだろうと予測される)未来において、私たち親が「幸福」をどう再定義すべきか、もう少し掘り下げる記事も今後上げていこうと思います。