こんにちは.
前回の記事では、「高学歴=高収入の方程式が崩れるかもしれない」 という、不確実性の高い未来のお話をしました。
今回は、そこから一歩進んで、「じゃあ、このAI時代における『幸せ』って何だろう?」 というテーマを掘り下げます。 実は、私たちが良かれと思って子供に目指してほしいと願っている高学歴・高所得の世界こそ、これからは 「最も過酷で、幸福度が低い場所」 になるかもしれないのです。
1. AIが生む「超・二極化」の世界
今後起こるかもしれないと懸念しているのは、AIとロボットが普及した先に待っている、残酷なまでの 「二極化」 です。
現在のビジネス界におけるGAFAM(Google, Appleなど)の独占を見ればわかるように、これからはAIをフル活用できる 「ごく一部のトップ層」と、「それ以外」 に世界が分断されていく気がしています。
- トップ層の世界: AIという強力な武器を使いこなし、莫大な富を生む。しかし、そこは世界中の天才たちがAIと共に24時間365日競い合う、熾烈なレッドオーシャンに。
- それ以外の世界: トップ層との格差は開く一方ですが、逆に言えば「世界規模の競争」からは完全に降りて切り離されていく。
「子供にはトップを目指してほしい」というのが親心かもしれません。しかし、AI時代のトップ争いはあまりに過酷です。精神をすり減らしてトップにしがみつくより、「ローカルなコミュニティで、身の丈にあった生活を送る」 ほうが、実は幸福度は高いのではないか? そんな仮説を持っています。
2. ハーバード大学が75年かけて出した「幸福の結論」
では、科学的に「人間の幸せ」は何で決まるとされているのでしょうか? ここで非常に有名な研究をご紹介します。
ハーバード大学が75年以上、数百人の人生を追跡調査した「成人発達研究」です。 この研究が導き出した結論は、驚くほどシンプルでした。
“Good relationships keep us happier and healthier. Period.” (私たちを健康に幸福にするのは、良い人間関係に尽きる。)
— ロバート・ウォールディンガー(研究責任者)
学歴でも、年収でも、フォロワー数でもない。 「困った時に頼れる人がいるか」「心を開ける友人がいるか」。 結局のところ、人間の幸福を決める決定打は、身近な人との 「人間関係」 だったのです。
また、ウェルビーイング(幸福)の研究では、「自己決定権(自分の人生を自分でコントロールできている感覚)」 も非常に重要だとされています。
そう考えると、熾烈な競争で上司や株主のプレッシャーにさらされ続ける「エリート」よりも、収入はほどほどでも、気の合う仲間に囲まれ、自分のペースで仕事ができる人の方が、生物として「幸せ」である可能性は高いかもしれません。
3. それでも私が「教育」にお金をかける2つの理由
「競争は激化するし、幸せは人間関係で決まる」 矛盾するようですが、それでも我が家は、現状では子供の教育(塾やインターなど)にお金をかけ続けています。
「正解」はまだわかっていないですし、悩みながら。。です。でも、現時点で言語化できる理由は2つあります。
理由①:悪い「代替案」から守るため
もし、今の時代に「勉強」をしなかったら、空いた時間で子供たちは何をするでしょうか? 昔のように、空き地で工夫して基地を作ったり、自然の中で遊んだりするなら最高です。
しかし現実はそうはならないことが多いです。 おそらく、「スマホの課金ゲーム」 や、射幸心を煽る 「高額なトレーディングカード」,「SNSのショート動画を見続ける」 など、企業のマーケティングに消費されるだけの時間になりがちです。
子供が自ら「塾に行きたい」と言い出した時、私が背中を押したのは、「勉強してほしい」というよりも、「受動的な快楽(ゲームなど)に溺れるよりは、能動的に頭を使う経験の方がマシだ」 という、消去法的な親心もあったのが本音です。
理由②:「人生をコントロールする力」を持たせるため
もう一つは、先ほどの幸福の条件である 「自己決定権」 のためです。
「いい大学→いい会社」というルートが崩壊したとしても、知識や技能、そして「学ぶ習慣」さえあれば、自分で生きていく道を探せます。 逆に、学ぶ力がないと、AIに使われるだけの単純作業や、誰かに搾取される立場から抜け出せなくなるリスクが高まります。
私が子供にプレゼントしたいのは、「高学歴」という肩書きではなく、「どんな環境になっても、自分の頭で考え、自分の人生を自分で選べる力(=自由)」 なのかもしれません。