インフレ2%が30年間続いた後の世界と老後資金との向き合い方

インフレの世界に入りつつある日本において、このまま継続していくと30年後にどんな世界になっているか、そのとき老後生活にどう向き合えばいいのかを考えてみました。

ここ1年くらい日本の物価上昇が始まり、インフレの世の中になりつつあります。国が目指している「インフレ2%」と聞くと、大したことがないように感じるかもしれません。

でもそれが30年続いたら、 どんな世の中になっているのか想像ついているでしょうか?(指数関数的な増加は、人間にはなかなかイメージしにくいものです。)

この記事では、

  • インフレ2%が30年続くと何が起きるのか
  • 年金は本当に追いつくのか
  • 共働き子育て世帯として、老後に向けてどう行動すべきか

を、できるだけ現実的な視点で整理します。


インフレ2%が30年続くと、何が起きるのか

まずはシンプルな数字の話です。

1.02^30 ≒ 1.81

これは、

  • 物価が 約1.8倍
  • 今100円のものが、30年後には約180円

になる世界を意味します。

この物価上昇は平均価格なので、物によってはそこまで大きく値段が変わっていないものもあれば、3倍になったというようなものもあると思います。

2%は、世界各国を見渡しても、派手なインフレではありません。 でも、ここ30年くらいの日本の常識で生活を継続してしまうと、確実に生活を圧迫するインフレです。


貯金の価値は、静かに目減りする

インフレが続く世界では、

  • 現金の名目額は変わらない
  • でも買える量は減る

という現象が起きます。

たとえば、

  • 老後に2,000万円あれば安心、と思っていても
  • 30年後の2,000万円は、今の感覚では 約1,100万円相当

になります。

「減っていないのに、足りない」
これがインフレの一番やっかいなところです。


年金はインフレについていけるのか?

年金は一応、物価や賃金に連動する仕組みがあります。

ただし、

  • マクロ経済スライドによる給付抑制
  • 少子高齢化による制度維持優先

といった理由から、

物価が上がっても、年金は完全には追いつかない

設計になっています。

名目額は増えても、
実質的な購買力は少しずつ削られる

これが、インフレ時代に年金だけを頼る怖さです。


それでも年金は「必要な土台」として受け入れる

前の記事で考察しましたが、

年金は、

  • 長生きリスクをカバー
  • 市場暴落時の保険
  • 最低限の生活を守る仕組み

として、ある種の保険機能のようなものも兼ねているので、一概に否定すべきものではないという話をしました。(実際は、辞めたいと言って辞めれるわけではないので、自分への言い訳的な側面がないわけではないですが。。)

一方で、絶対に考えておかないといけない現実として、

年金は「最低限」
老後の安心を完成させるには、もう一段必要

という位置づけです。


インフレ時代に個人が取るべき基本戦略

結論はとてもシンプルです。

① 年金は土台として受け入れる

  • 増えない前提で期待しすぎない
  • でも無視もしない

② インフレ耐性のある資産を持つ

  • 現金だけにしない(投資をする!)
  • 実体経済に連動する資産を組み合わせる

この2つを同時にやることが重要です。


共働き子育て世帯の現実的な前提

ここからは、もう少し具体的な話です。

  • 住宅ローン完済:60代半ば
  • 老後も70歳くらいまで緩く働く
  • 年金受給額を少しでも増やす
  • 老後資金は「残しすぎず、使い切る」

この辺りを我が家としては目指していきたいと思っています。


「Die with Zero」ではなく「Die with ???」

「Die with Zero(資産をゼロで死ぬ)」という書籍をご存知でしょうか。人間は、稼いだお金を貯めて、死ぬ時にかなりの額を持って死んでいくため、使い切った方が人生有意義じゃないか!みたいな話です。

考え方としては面白いですが、現実にはリスクが高すぎると感じています。実際に、

  • 寿命は読めない
  • 医療・介護費用は不確実
  • インフレも続く

だから現実的には、

Die with ???(適正額を残して使い切る)

という発想の方が理想的ではないかと思います。

この???は、

  • 数年分の生活費
  • 想定外支出へのバッファ
  • 子どもへの最終的な支援余地

を含んだ金額になるかな。。と思います。


投資は「当てにいく」ものではない

老後資金のインフレ対策としての投資で大切なのは、

  • 短期で儲けること
  • 予想を当てること

ではありません。

目的は、

30年後の購買力を守ること

そのためには、

  • 世界に分散
  • 低コスト
  • 長期保有

という、地味だけど科学的に支持されている方法が合理的です。

5年後、10年後の未来でも読みづらい、進化の早い世の中で30年後は全くどうなっているか分からず、米国だけや日本などどこかの国に投資というよりは 全世界型の株式インデックス が無難じゃないか。。と個人的には思っています。


住宅ローンとインフレの関係も忘れない

インフレが続く世界が悪いものという印象をもってしまう人もいるかもしれませんが、悪いことばかりではありません。

例えば、住宅ローンを組んで、数千万という大きな借金を返済している人は、

  • 固定金利のローン残高は、実質的に軽くなる
  • 早く返しすぎる必要は薄れる

先ほど、2000万あるはずが、1100万円ほどの価値しかないという話が出てきましたが、借金の場合は逆で、2000万円返さないといけなかったはずが、1100万円返すくらいの負担に減るということです。

そのため、老後前に完済できる設計なら、過度に繰り上げ返済を急がず、

  • 投資
  • 流動性確保

とのバランスを取る方が合理的な場合もあります。


結論:インフレは「静かな前提条件」

インフレ2%が30年続く世界は、

  • 特別な未来ではない
  • でも、対策しないと確実に苦しい

という世界です。

  • 年金を土台にする
  • 投資で実質価値を守る
  • 働けるうちは緩く働く
  • 最後は「ちょうどいい額」で使い切る

派手なことをしなくても、
この前提を受け入れて行動するだけで、
老後の見え方は大きく変わります。

インフレは敵ではありません。
無視することが最大のリスクではないでしょうか。