あまり話題になっていない気もしますが、若い子育て世帯のライフプランを根本から覆す可能性のある「年金制度のルール変更」が静かに、しかし確実に進んでいます。
直近で決定したこととして、 **「遺族厚生年金」の有期化(5年打ち切り)**となりそうです。
これまで夫婦のどちらかが他界した際に、「残された配偶者に対する一生涯のセーフティネット」だった遺族年金が、 1989年(平成元年)以降に生まれた世代を中心に、非常に厳しい条件へと切り替わります。今回は、この制度変更が子育て世帯に与えるインパクトと、私たちが取るべき「おすすめの防衛戦略」をまとめました。
1. 若い世代を直撃する「遺族年金5年打ち切り」のルール
2028年4月から施行される予定の新制度では、男女の格差をなくすという名目のもと、以下のようなドラスティックな変更が行われます。
- これまで: 夫婦のどちらかが亡くなった際、30歳以上の配偶者であれば 「一生涯」 遺族厚生年金をもらうことができた。
- これから: 配偶者を失い遺族年金を受け取る人が1989年(平成元年)4月2日以降生まれの場合、「原則5年間のみ」 で支給が打ち切られる。
子育て世帯に立ちはだかる「18歳の崖」
「うちは子どもがいるから関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、ここが最大の落とし穴です。 子どもが18歳(高校卒業)になる年度末までは従来通り「遺族基礎年金+遺族厚生年金」が手厚く支給されます。しかし、子どもが18歳になり制度から外れた後、そこからたった「5年間」で遺族厚生年金も完全にストップしてしまいます。
つまり、下の子が独立してこれから老後資金を本格的に貯めようという、最も重要な時期に国からのサポートがゼロになる「18歳の崖」が出現するのです。
2. これからの時代を生き抜く「3つの防衛戦略」
この前提崩壊に対して、私たちはどうライフプランを再構築すればよいのでしょうか。有効な戦略は以下の3つです。
戦略①:最強のヘッジは「夫婦共働き」の維持
遺族年金が打ち切られるということは、「残された側の自力で稼ぐ力」がこれまで以上に問われるということです。 どちらか一方が完全に仕事から離れてしまうリスクはかつてなく高まっています。金融資産の額が大きい場合には意識しなくても良いかもしれませんが、そうでない限りは、共働きを大前提として家計を設計していくことでしょう。夫婦ともに働き、キャリアと稼ぐ力を維持し続けることが、どんな保険にも勝る最大の防衛策になります。
戦略②:「家計の支出」を正確に把握しておく
万が一の事態が起きた際、手元にいくら残り、毎月のキャッシュフローがどうなるのかを常に把握しておく必要があります。
我が家では3ヶ月に1回のペースでExcelに口座残高や評価額を記録する「家計の棚卸し」を結婚以来ずっと続けていますが、これがリスク許容度を測る強力な武器になります。定期的に資産状況をモニタリングすることで、遺族年金が途切れた後の不足額が明確になり、民間の収入保障保険などに無駄に入りすぎるのも防ぐことができます。
戦略③:住宅ローン(団信)と生命保険+手元資産のバランスを見極める
家計を見直す際に、大きな固定費である「住居費」の扱いは鍵を握ります。特に、住宅ローンを抱えている家庭にとっては、万が一の際に団体信用生命保険(団信)によって残債がゼロになり、以降の住居費負担は消滅します。これは非常に大きいです。
この「団信による住居費の減少」と、「遺族年金打ち切りによる収入の減少」を天秤にかけ、資産がマイナスに陥らないかをシミュレーションしておくことが重要です。住宅ローンは強力な生命保険でもあります。この恩恵を正確に計算に組み込みましょう。
これに加えて、生命保険に加入している家庭も多いと思います。夫婦のどちらかが他界した場合に、ローンが全てなくなるのか、一部は残るのか。どちらか一方に団信がかかっている場合、対象外の方に生命保険を手厚くかけておくといった対策も取れます。
いずれにしても、どのくらいの金額が保険金で入ってくれば、子育てから老後まで乗り切れるか、を把握しておくことは非常に重要であると言えるでしょう。
まとめ
国からの保障が薄くなっていく中で、もはや「制度に守ってもらう」という受け身の姿勢では、家族の生活を守り切ることはできません。
しかし、ルール変更を早めに把握し、共働きによる収入基盤の確保と、地道な資産管理(棚卸し)を淡々と続けていけば、過度に恐れる必要はありません。社会のルールが変わるなら、私たちの生涯設計もそれに合わせてロジカルにアップデートしていきましょう。