【2027年開始】こどもNISAと親の新NISAを組み合わせる「家族NISA戦略」——教育費だけが目的じゃない、超長期視点の使い方も

2027年1月開始予定のこども支援NISAを親の新NISAと組み合わせれば、子ども2人の家族で年840万円が非課税に。優先順位(つみたて枠→こどもNISA→成長投資枠)と、教育費ではなく子どもの老後資産として渡す超長期戦略まで解説します。

「子どもの教育費はNISAで積み立てればいい」と言うのは簡単ですが、2023年にジュニアNISAが廃止されて以来、「じゃあ子ども名義でどう積み立てるの?」という問いに、しっくりくる答えがない状態が続いていました。

その空白を埋める制度が、2027年1月から始まる予定です。「こども支援NISA」——令和8年度税制改正大綱に正式に盛り込まれ、ジュニアNISAの後継として設計されたこの制度は、かつての使い勝手の悪さを大幅に改善しています。

今日は、この新制度の詳細を整理したうえで、親の新NISAと組み合わせた戦略の優先順位と、「教育費のため」だけではない超長期視点の使い方まで考えてみます。


1. そもそもジュニアNISAはなぜ廃止されたのか

まず前提の確認から。ジュニアNISAは2023年末に廃止されましたが、その最大の理由は「使いにくさ」でした。

年間の投資上限は80万円で、生涯非課税枠は400万円。数字だけ見れば悪くない。しかし**「18歳まで原則として払い出しができない」**という制限が、利用者の足を引っ張り続けました。

子どもが15歳のとき、高校受験の費用が必要になっても引き出せない。中学受験や留学という選択をしたくても、資金を動かせない。「老後資金ならともかく、教育費を18年も縛られるのは困る」という声は、制度設計者にも届いていたはずです。結果として利用者は伸び悩み、制度は静かに幕を閉じました。


2. こども支援NISAとは?——何が変わったのか

2025年12月の令和8年度税制改正大綱で正式に決定し、2027年1月からの開始が予定されているのが「こども支援NISA(通称:こどもNISA)」です。現時点での主な仕様は以下の通りです。

  • 対象: 0歳〜18歳未満
  • 年間投資上限: 60万円
  • 生涯非課税保有限度額: 600万円
  • 払い出し制限: 12歳以降は子どもの同意を得て親権者が払い出し可能(18歳以前でも引き出せる)
  • 18歳以降: 通常の新NISAへ自動的に移行・統合

ジュニアNISAとの最大の違いは、この「払い出し制限の大幅緩和」です。12歳、つまり小学校高学年以降であれば、中学受験・塾費用・留学費用など、実際に教育費がかかる局面で引き出せるようになります。

そして、もう一点重要なのが「18歳以降の通常NISA統合」という出口設計です。ここが後で語る超長期戦略のカギになります。


3. 親NISA × こどもNISA——家族単位で計算すると

親の新NISAと組み合わせると、家族全体でどれだけの非課税枠が使えるか整理しましょう。

親(夫婦2人)の新NISA

つみたて投資枠 成長投資枠 合計(1人)
年間上限 120万円 240万円 360万円
夫婦合計 240万円 480万円 720万円/年

こども支援NISA(2027年開始予定)

子どもの人数 年間上限 生涯非課税枠
1人 60万円 600万円
2人 120万円 1,200万円

子ども2人の家族であれば、親の新NISA(720万円)+ こどもNISA×2(120万円)= 年間840万円が非課税の投資枠になります。

もっとも、「840万円を毎年全部使う」のはほとんどの家庭で現実的ではありません。だからこそ、枠の使い方に優先順位をつけることが重要になります。


4. 我が家が考える優先順位——つみたて枠 → こどもNISA → 成長投資枠

正直なところ、親の新NISAだけで年間360万円(夫婦合計720万円)を満額使い続けられる家庭は、共働きでも多くないと思います。そうなると「限られた投資余力をどこから使うか」という優先順位の設計が必要になります。

私が考える優先順位は以下の通りです。

第1優先:親のつみたて投資枠

年間120万円(夫婦合計240万円)から始めるのが王道です。つみたて投資枠は長期積立に適したインデックスファンドのみが対象で、投資初心者でも迷いにくい。いつでも非課税で取り崩せる柔軟性もある。積立投資の考え方についてはこちらでも書きましたが、まずこの枠を毎月コツコツ埋めることを最優先にするのが、シンプルで続けやすい。

第2優先:こどもNISA

親のつみたて枠をある程度埋められるようになったら、次にこどもNISAを使う。年間60万円(月5万円)は現実的な範囲で、後述するように「教育費」「超長期運用」どちらの目的にも使えます。

第3優先:親の成長投資枠

成長投資枠は年間240万円(夫婦で480万円)と枠は大きいですが、個別株・ETF・REITなど選択肢が広い分、判断が難しい。投資余力が十分にある場合や、特定の金融商品を活用したい場合に使う、一番後回しでいい枠だと思っています。

ポートフォリオの設計については別記事でも詳しく触れています。


5. こどもNISAの「出口」は2択——教育費 or 超長期運用

こどもNISAの使い方は、大きく2つの方向性があります。

① 教育費として使う(オーソドックス)

以前の教育費の記事でも書きましたが、子どもにかかる教育費の平均は1,458万円(ソニー生命2026年調査)。それ以上になる家庭も珍しくない。

こどもNISAで月3万円(年36万円)を0歳から12年間積み立てると、5%複利試算で約580万円になります。大学進学時の費用を一部カバーできる規模感です。

また、教育費には児童手当を充当するのが最もシンプルな方法です。現行の児童手当は3歳未満で月1.5万円、3〜12歳で月1万円(第3子以降は3万円)、中高生で月1万円。0歳〜17歳まで全額を非課税口座で運用し続けると、元本約204〜240万円が18歳時点で約360〜450万円前後になります。「手当は消費せず全額投資へ」は、余裕のある共働き世帯に特に有効です。

② 教育費に使わず、子どもの老後資産として渡す(超長期戦略)

こちらが、私がより面白いと思う使い方です。

18歳以降、こどもNISAは子ども自身の通常NISAに自動統合されます。つまり、親が積み立てた資産を子どもがそのまま老後まで運用し続けることができるのです。

0歳から18年間、月3万円(年36万円)を年利5%で運用すると、18歳時点で約1,000万円超になります。仮にそこから子が一切手をつけず、65歳まで47年間さらに年5%で運用し続けると——1,000万円は約10億円規模になる計算です(さすがにインフレや税制変更もあるので額面通りには受け取れませんが、複利の威力は本物です)。

「教育費が足りなければ親のNISAから出す。こどもNISAはできるだけ崩さず長期運用させる」という割り切りができると、こどもNISAは子どもへ渡せる最高の贈り物の器になります。特に、親のつみたて枠を自分たちの老後資金として設計しておけば、こどもNISAを教育費に流用する必要が薄くなります。


6. 2026年中にできること——開始は2027年でも準備は今

こども支援NISAの開始は2027年1月の予定ですが、今のうちにやっておくべきことがあります。

①まず親のつみたて投資枠から埋める

こどもNISAより先に、自分たちのつみたて投資枠を毎月積み立てる仕組みを整えましょう。NISA口座未開設の方は今すぐ開設を。「こどもNISAが始まってから考えよう」は、機会損失の典型パターンです。

②こどもNISAの口座開設は2026年秋〜冬を目安に

各金融機関の受付開始は2026年後半〜年末ごろと予想されています。SBI証券や楽天証券など、使い慣れた証券会社の情報をチェックしておきましょう。

③「教育費に使う」か「渡す」か、方針だけでも決めておく

月いくら積み立てるか、そのお金を何に使うかの方針があるだけで、口座開設後の動きが格段にスムーズになります。「とりあえず児童手当を全額入れる」だけでもスタートとして十分です。


まとめ

  • こども支援NISAは2027年1月開始予定。年間60万円・生涯600万円、12歳以降に払い出し可能
  • 18歳以降は子ども自身の新NISAに統合されるため、教育費に使わず超長期運用させる選択肢もある
  • NISAの優先順位は「親のつみたて枠 → こどもNISA → 親の成長投資枠」。ほとんどの家庭は親の枠を全部埋めるだけでも大仕事なので、順番通りに
  • 児童手当を全額こどもNISAへ投入する方法がシンプルで強力
  • 2026年中にやること:親のつみたて枠の積立開始、こどもNISA開設の情報収集と方針決め

「教育費のための積立」という枠だけで考えると、こどもNISAは少し物足りない制度に見えます。でも「子どもの老後まで視野に入れた資産設計の出発点」と捉えると、これはかなり強力な制度です。

2027年の開始を待ちながら、今できる設計だけは先に終わらせておきましょう。