共働きは「時間を買う」べきか?家事代行・ベビーシッター・時短家電の費用対効果を研究と我が家の実例で考える

家事代行やベビーシッターは贅沢?ハーバード等の研究では「時間を買う出費」は所得に関係なく幸福度を高めると報告。2027年度税制改正要望の税優遇、内閣府系の割引券、我が家の時短家電投資の実例から、共働き子育て世帯の「時間の上手な買い方」を整理します。

「家事代行を頼むなんて、うちには贅沢すぎる」 「ベビーシッターにお金を払うくらいなら、自分が頑張ればいい」

共働きで子育てをしていると、おそらく一度はこう考えたことがあるんじゃないでしょうか。我が家もそうでした。

でも、研究の世界では少し違う結論が出ています。「お金で時間を買う」ことは、モノを買うより幸福度を高める——しかも、それは高所得者に限った話ではない、という研究です。

さらに2026年夏には、ベビーシッターや家事支援サービスの利用者を税制で優遇する方針が報じられました。「時間を買う」は、いよいよ国も後押しするテーマになりつつあります。

今日は、共働き子育て世帯が「時間を買う」ことの費用対効果を、研究エビデンス・制度・我が家の時短家電投資の実例から整理します。


1. 研究が示す「時間を買うと幸せになる」——所得に関係なく

この分野でよく引用されるのが、Ashley Whillans氏(当時ブリティッシュコロンビア大学、のちにハーバード・ビジネス・スクール)らが2017年に PNAS(米国科学アカデミー紀要)で発表した研究です(Whillans et al., 2017, “Buying time promotes happiness”)。

研究は2段構えになっています。

  • 調査研究:アメリカ・カナダ・デンマーク・オランダの6,000人以上を調べたところ、家事代行などの時間を節約するための出費をしている人ほど、生活満足度が高かった。この関係は所得をコントロールしても残った
  • 実験研究:働く成人に、ある週は「時間を節約するもの」に40ドル、別の週は「モノ」に40ドルを使ってもらったところ、時間を買った週のほうが幸福感が高く、時間に追われるストレスも低かった

研究者自身も「所得層を問わず同じ効果が見られたのは予想外だった」とコメントしています。

一方で、実際に時間を買っている人は少数派だったことも報告されています。報道によれば、「お金と時間のどちらを選ぶか」と聞かれると多くの人がお金を選んだそうです。つまり、時間を買えば幸せになるのに、多くの人は「もったいない」と感じて買わない。

ただし、この研究の注意点も書いておきます。実験の規模は小さく、使った金額も40ドルと少額です。「大きな金額を払えば払うほど幸せになる」とまでは言えません。あくまで「時間を買うのは贅沢で、罪悪感を持つべきもの」という前提は、少なくともデータでは支持されていないという一例です。


2. 判断基準は「自分の時給」——機会費用で考える

では、何にいくらまで払っていいのか。私が使っている判断軸はシンプルで、機会費用(その時間で他に何ができたか) です。

ざっくり「自分の手取り時給」を出してみる

たとえば手取り年収400万円、年間労働時間2,000時間なら、手取り時給は2,000円。

家事代行が1時間3,000円だとしても、「浮いた1時間で仕事をして稼ぐ」ことはできないので、単純比較だと割高に見えます。ここで「やっぱり贅沢か」と結論を出しがちです。

でも、比べるべきは「浮いた時間でいくら稼げるか」だけではありません。

  • 浮いた時間を子どもと過ごす時間に回せるか
  • 睡眠や回復に回して、翌日の仕事のパフォーマンスが落ちないか
  • 夫婦が家事の押し付け合いで消耗しないか

この3つは金額に直しにくいのですが、子育て世帯では非常に重い。仕事を辞めて子どもの勉強を見るべきかという記事でも書いたように、親が疲弊して仕事を手放すと、生涯年収では数千万円単位の差になり得ます。「時間を買って、働き続けられる状態を守る」 というのは、長期で見るとかなり割のいい投資です。

私が考える判断ルール

  • 毎日発生し、何年も続く家事 → 家電で自動化(初期投資を年数で割ると安い)
  • たまに発生する重い家事・育児 → 外部サービスをスポットで使う
  • 子どもと一緒にやると「体験」になる家事 → あえて残す(料理・買い物など)

最後の項目は、我が家の金融教育の考え方とも通じます。買い物は「値段を見る練習の場」なので、子どもと一緒に行く価値があります。


3. 我が家が一番「時間を買えた」のは家電だった

我が家の場合、時間を買う手段として最も効果が大きかったのは、外部サービスより時短家電でした。

食洗機(Miele・60cm幅)

家づくりのときに入れた海外製の大型食洗機は、時短家電の中で満足度1位クラスです。家族4人の1日分の食器がほぼ1回で終わります。詳しくはMieleの食洗機を入れて思ったことに書きましたが、導入コストや設置の手間は決して小さくありません。

仮に導入費用を 100万円、使用年数を15年、1日に浮く時間を 60分 とすると、1時間あたりのコストは 182円 になります。(洗剤や水道代は手洗いと同じ程度かかるものとして)

家の環境にもよりますが、冬場の水回りでのたち仕事が減ることで、手足など末端の冷え症や手荒れなども本当に激減したと夫婦共に感じています。保証期間も長く、壊れにくく設計されているのも含め、我が家での評価は非常に高いです。

ドラム式洗濯乾燥機

おそらく時短家電の代表はドラム式洗濯乾燥ではないでしょうか。本当に、毎日乾燥まで回して、干す・取り込むという作業は我が家では消え去っています。

ただし、ドラム式の記事で書いたとおり、ヒートポンプ乾燥は埃詰まりで性能が落ちやすく、メンテナンスをしようとすると「時間を買ったはずが、時間もお金を取られる」 ことになります。時短家電は「買って終わり」ではなく、維持の手間まで含めて評価が必要です。

見えない家事は「仕組み」で減らす

物理的な家事以外に、予定管理や連絡などの「見えない家事」もあります。これはお金で買うより、AIとMarkdownで夫婦の予定を同期する仕組みのように、仕組み化で減らす方法を試しています。

仕事の業務は常にパソコンで作業しているので良いですが、家族で共有しつつ、スマホとPCと両方から見えて利便性も高く。。と欲張ろうとすると、有料課金サービスを使わないとなかなか環境構築が難しいな。。というのが数ヶ月やってみた現状です。


4. 外部サービスは「割引」と「これからの税優遇」を知ってから使う

家事代行やベビーシッターは、知っているかどうかで負担がかなり変わります。

企業主導型ベビーシッター利用者支援事業(割引券)

こども家庭庁の事業で、勤務先が導入していればベビーシッター利用料の一部を割引券で補助してもらえます場合があります。WEB検索で見つけた例によると、通常分は1枚2,300円、対象児童1人につき1回最大2枚、1家庭あたり月24枚・年280枚が上限といった提供のされ方です。

条件は勤務先によって異なるので、まずは勤務先の人事・福利厚生担当に「ベビーシッター割引券はありますか」と聞いてみるのを第一歩として、お試しから始めるのはどうでしょうか。

自治体の補助

自治体によっては、ベビーシッターや家事支援の利用料を独自に補助しているところもあります。お住まいの自治体の子育て支援ページを確認してみてください。

2027年度の税制改正要望:ベビーシッター・家事支援の税優遇

2026年8月の共同通信の報道によると、経済産業省などが2027年度の税制改正要望に、ベビーシッターや家事支援サービスの利用者への税優遇を盛り込む方針を固めました。財務省のサイトに掲載された要望書でも、厚生労働省・こども家庭庁・経済産業省がそろって「家事支援サービスやベビーシッター等の利用に要する費用に係る税制上の所要の措置」を求めています。

ポイントは次のとおりです。

  • 所得控除か税額控除かは検討中
  • ベビーシッターは保育士・看護師などによるサービスに限る方向
  • 家事支援は2027年に創設予定の国家資格の保有者によるサービスが軸
  • 所得制限を設けるかどうかも論点

まだ要望段階で、確定した制度ではありません。 年末の税制改正大綱で具体的な内容が決まる見込みなので、決まり次第この記事も更新する予定です。

ちなみに、我が家は地方に住んでいる関係上、シッターさんの数が少なく、予約を取りにくいので、あまり定期的な利用はできていません。。

まとめ:時間を買うのは「贅沢」ではなく「投資」になり得る

  • 研究では、時間を節約するための出費は所得に関係なく幸福度を高めると報告されている(ただし大金を払えば払うほど良いとは言えない)
  • 判断の軸は「自分の時給」だけでなく、子どもとの時間・睡眠・夫婦関係・働き続けられることまで含めた機会費用
  • 我が家では、毎日の家事は時短家電で自動化、重い家事・育児は外部サービスをスポットで、子どもの体験になる家事はあえて残す
  • ベビーシッターは勤務先の割引券を確認。2027年度からは税優遇が実現する可能性もある

節約の基本は「何にお金を使わないか」を決めることですが、同じくらい大事なのが「何にはお金を使うか」を決めることです。我が家の場合、車や見栄にはお金をかけない代わりに(3つの聖域なき節約)、時間を生む家電と子どもの教育にはお金を使うと決めています。

「頑張れば自分でできる」ことに、全部自分の時間を使う必要はありません。浮いた30分で子どもと話せるなら、それは十分に元が取れる買い物だと思っています。


参考文献・資料

  • Whillans, A. V., Dunn, E. W., Smeets, P., Bekkers, R., & Norton, M. I. (2017). Buying time promotes happiness. PNAS, 114(32), 8523–8527. https://doi.org/10.1073/pnas.1706541114
  • 共同通信「育児サービス利用者を税優遇方針 経産省、仕事と両立を後押し」(2026年8月21日配信、熊本日日新聞ほか掲載)
  • 財務省「令和9年度税制改正要望」経済産業省・こども家庭庁・厚生労働省 各要望書